AIにCADを頼んだら、ボタンが下を向いた。最初の失敗で分かったこと
壁掛け部品の試作で起きた、傾きの取り違えと修正の記録。角度の数字より先に伝えたい基準面、使う姿勢、変えない条件を整理しました。
運営者の2026年7月の制作記録をもとに編集した、原稿です。会話の逐語転載ではなく、依頼文の例は今回整理したものです。
AIに形を作ってもらえば、CADの操作を一つずつ思い出す手間を減らせるかもしれない。そんな期待から、壁に取り付ける小さな機器のホルダーを相談しました。ところが最初のモデルでは、上から押したいボタンが下を向いていました。形は出来ている。でも、この向きでは使えない。
難しい計算を間違えたというより、何を基準に傾けるかが食い違っていました。この経験は、AIへの指示を長くする前に、確認する順番を変えるきっかけになります。
最初は、コードを書かないで相談した
初回の依頼は「すぐ完成品を出して」ではありません。まず設計上の問題、力のかかり方、組み立てやすさ、印刷しやすさを検討し、コードを書くのはその後にする、というものでした。
小さな試験片で判断する方針も最初からありました。それでも、いざ形になった段階で向きを取り違えています。丁寧な相談をしたことと、同じ完成形を思い浮かべていることは別でした。
「もっと傾けて」には、基準が足りない
壁を基準にするのか、机のような水平面を基準にするのか。同じ「傾き」でも、意味が変わります。数字だけを足すと、誤解したまま精密になることもあります。
今回の記録では、まず「ボタンを上から押したい」「本体の底側を支えたい」という使い方を伝え直し、その後も支持面やねじ穴の位置を画像と照らし合わせながら修正しました。一回の訂正では終わらず、翌日にも修正が続いています。
次に同じ相談をするなら、側面の絵に壁、上方向、押す方向を描き、先にその理解を言葉で返してもらいます。きれいな完成画像より、向きが分かる簡単な断面図のほうが役立つ場面です。
指示は「場所・変更・維持」の三つに分ける
画面を見て「ここがおかしい」と感じたら、部品名を正確に知っている必要はありません。ただし、囲んだ場所だけでは、何をしてほしいかまでは伝わりません。
たとえば、次のように書き分けます。
囲んだ支持面を、機器の底に沿う向きに直してください。ボタンは上から押せる姿勢にします。全体の幅と、すでに合っている左右の位置は変えないでください。まず側面図で理解を見せてください。
これは当時の発言そのものではなく、失敗を踏まえた依頼文の例です。「変えてほしいこと」と同じくらい「変えないこと」が大事です。部分修正を頼むたびに別の場所まで変わると、前の確認をやり直すことになります。
印刷する前に、何を確かめるか決める
角度を確かめたいなら角度の分かる断面、はまり具合なら接触部分、工具が入るかなら穴の周辺。全部入りの完成品を毎回作るのではなく、今回の疑問に答える部分だけを試す、というのが当初からの方針でした。
ただし、この記録だけで実物の強度や長期使用の安全性が証明されたわけではありません。画面で向きが合うこと、印刷できること、実際に安全に使えることは分けて判断する必要があります。ここでは試験片を実測して合格した、という話にはしていません。
次の一回は、側面図から始める
この失敗から持ち帰りたいのは「もっと上手に専門用語を使う」ではなく、「使う場面を先にそろえる」です。AIが作った形を一方向だけで見ず、正面と側面を見比べ、手が入るか、押す方向が合うかを確かめる。その後で寸法や外観を詰める。
AIは最初から正解を出したわけではありません。違和感を見つけて説明し直す作業も、ものづくりの一部でした。
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